NASA72GX

CB無線機の中で最も珍重し、長い間使われている無線機があります。
それが、NASA72GXという無線機です。

46GT←46GT

23VB←23VB

NASA72登場は今からなんと30年以上もまえ、
1976年にはCB無線機として72000円の価格で販売されています。
登場して以来 脈々と不法運用を続けています。
こう書くと「アメリカでは合法なんじゃないの?」
という疑問も出るかもしれませんが、
当時も今も23ch/40ch以外の無線機はすべて不法である上、
地球上にCB無線として40CH以上のチャンネルを持つものが、
合法として運用できる地域はありません。
また電波法のない国は事実上存在しないことになっていますので、
CB無線で72CHを運用できるNASA72GXは
不法無線機と言っても差し支えありません。

NASA72GXはどんな無線機?
NASA72は典型的なCB無線機で、まさに教科書的なものです。
水晶を合成(クリスタルシンセサイザー)して
27MHzを作り出しています。
水晶ブロック図を見るとわかりますが、
内蔵されている水晶には、2種類あって親石となる
37MHz台の水晶と子石となる10MHz台の水晶を合成して、
27MHZ送信波を作り出すという方法です。

内部

親石(37MHZ/38MHZ)が見える

NASA72GXの水晶の仕組み。
これはCBの王道なので、
23CHベースの無線機はみんなこんな感じです。

 

内部
↑NASAの部品配置は決して見やすいものではありません。

 

NASA72GX2

ちなみNASA72GX2はこんな感じ


ナサスーパー変調。
NASAなどの終段コレクタ変調という方法を用いている無線機は
低周波信号を規定以上のレベルで信号を入れると、
それにつれて高周波電力も大きなものが入力され、
規定以上の電力が送信されてしまいます。

そこで、歪を発生させないように低周波のほうには
大きな変調を制限するALC回路、
高周波のほうには、規定以上の電力が送信されないように
AGCが設置されています。

ALC回路を調整したり、AGC回路を調整することにより、
よりパンチのある変調にしたりすることができるのですが、
ここで制限を解除する方法により、
変調を上げてしまうと、
近接スプリアスなどの発生の原因につながります。

では某販売店で行われている
NASAスーパー変調とはどういうものでしょうか?
結論からいうと、プッシュプアンプの周波数特性を変更して
あたかも変調を変わったように手を加えているのと
いわゆるフローティングキャリア化して
変調が加わったときにパワーが出るようにしています。

回路図

プッシュプルアンプの部分をみてください。
オーシオトランジスタ2SC1173のC(コレクタ)
B(ベース)間に0.047μのコンデンサがついていますので、
このコンデンサをフィードバックコンデンサといい、
オーディオアンプの特性を決めているのです。
つまりこのコンデンサの容量を
半分0.022μや0.01μ
に下げることによって周波数特性高い部分まで送信されるようになり、
結果的により大きな周波数逝きを送信することができるようになります。
言葉で表現すると難しいのですが、
「カリカリした」変調になるわけです。
この改造で棒販売店は1万円近い金額をとっているわけですが
タネはカンタンなんですね。

NASAの変貌

NASA72GX
NASA72GX
いわゆるpart1とか呼ばれるもので、すべての原型になったもの。
リレーの非装着、送受信切り替え回路のタイミングが悪く、
切り替える瞬間にピューという音が発生するもの。
これは後期になり解決されている。

   

NASA72GX2
NASA72GX2
これは72GXの基板そのものの変更があり、リレーが装着となった。
これによりマイクを抜いても受信ができるようになった。
後期になり、名板が彫刻の豪華なものに変更になっている。    

 

コンボイ
コンボイ
いわゆる白ナサと呼ばれるもの、パネルも筐体も真っ白。
名板にはCONBOYと書かれているので、この無線機正式名称は白ナサではない。
変調を深くするために変調トランスの変更をした。
ファイナルを複数利用して、変調を加えると10w程度までの電力が出る。
変調トランスを改造したために音声(受信)には使用できなくなったために、
基板上にμPC575C2という音声アンプを載せて、
ここで受信をさせるということおになった。
小さなサブ基板はこの用途とのために設置されている。    

ハリケーン 
ハリケーン
ファイナルを2個使用して
単体でのパワーを20wにしたもの
当時は2sc1307をパラにしたものをファイナルにしていた。
変調かけるまでもなく、キャリアで20w程度のパワーを出せることができる。    

銀ナサ
銀ナサ
普通のナサに対してつまみなどを銀にメッキしたもの。
NASAQが装着されており、
ブースターで増幅され大々的に響くナサQはマニアに受けたが
あまりにも深い変調と隣チャンネルへのかぶりなどから、
NASAQ禁止というクラブも多い。

   

ナサパーソナル   
周波数を10MHZupの37MHZにしたもの。
有事の時に自衛隊と直接交信できるように
この周波数を選んだらしいが、
出力10mwじゃどことも交信できないです。
そのためショートプラグというものがあり、
これを差すとパワーが5wに上がるというオプション付

                   

CB無線機におけるAM変調
CB無線機におけるAM変調の生成は
終段コレクタ変調であるといっても過言ではありません。
この方式はいわゆる23chの無線機からはじまり、
いま売られているCB無線機まで続いています。
この終段コレクタ変調については歴史があるにもかかわらず、
俗説などがまかりとおっています。
その結果、マイクコンプレサーで信号を押し込み、
ひずんだ変調が良いと思っている人が多いのも事実です。
そこで、やってもいいひずみと
やってはいけないひずみについてここで紹介しましょう。

まず最初にしっかり覚えなくてはならないのは、
変調プロセスでしょう
CB無線機は以下のようなプロセスで送信が行われるようになっています。

プッシュプルアンプ

マイクアンプ
マイクアンプは文字通りマイクの信号を増幅して、
次の段におおきな信号を加えるために存在をします。
NASA72のの場合 TR15(2SC945)が割り当てなり、
c68(0.01μ)とR82(1K)のローパスフィルタで
必要以外の信号がはいるのを防いでいます。
ここでの入力はマイク入力(-60db)を設定しているわけですが、
ここでマイクイコンプレッサーなどの大きな入力を加えると、
当然LPFを乗り越えて信号が入力され、
高い周波数が変調されてしまいます、。
結果占有周波数帯域が広がり 
隣CHなどへのかぶり原因になります。

TR16 (2SC1317)
マイクアンプで増幅された信号は次段の2SC1373で
もう少し大きな信号に増幅されます。
このトランジスタのコレクタには、
プッシュプルアンプの入力トランスに接続されており、
正負の2信号に分割されます。

TR17 TR18
CB無線機の場合はトランスによる高周波変調を加えるために、
高い電力の増幅が必要です。
一般的に4Wの電力を送信するためには
4wの音声信号が必要になると言われています。
当時は4wの音声出力を得るには、
トランスを利用するしか方法がなかったわけです。
後の時代では音声増幅回路はIC化して
変調はトランジスタで加わるようになります。
トランジスタ2つの増幅回路は、
B級プッシュプルアンプというものです。
入力された信号を入力トランスで正負の2つ方向のにわけで、
正負の信号を別々に増幅しておき、出力で合成することにより、
大きな出力が得られるということと、トランスを利用することにより、
同時にインピーダンス変換も行えるので部品を減ることになります。

T8
変調トランス
変調トランスの2次側には、2つの巻線が装着されています。
1つ目はスピーカーをドライブするために8Ωのインピーダンスを持つもので、
S-2-2(送信受信切り替えリレーで切り替えてます、

送信時には深い変調を加えるように2SC1173のベースに加え、
電圧を調整してAM変調を加えています。

このAM変調の加わった電圧は
直接ファイナルトランジスタtr23(2SC7373)の
コレクタTR22(2SC1018)と
ドライブトランジスタのコレクタ
そして、送信時に光るメーターランプ(赤)
を光らせています。

ALC
AMの被変調波においてあまりにも大きな信号が入ってくると
ひずみの原因になるので、変調された信号のうち
交流分をC82(16V33μ)でピックアップして整流後 
マイクアンプまでフィードバックして
変調が大きくなり過ぎないようにしています。
これらの一連の回路をALCといいます。

変調特性
変調の特性はいくつものパラメータがかさなったものです
ここで先の図をもう1度みてください。

プッシュプルアンプ

総合特性として、LPFなどの利用により
高域周波数3.4KHzまでしか送信できないようにされています。
CC無線機の場合、低周波増幅回路は、
送信と受信で共用していますので、
自分で送信した」変調と自分の回路で聞くというのが1番聞きやすい状態なわけです。
これを図にすると、

グラフ

送信と受信の関係一致していると聞きやすい

図の送信波形と受信波形がピッタリ一致していることにになります。
図の灰色の部分が通信相手に伝わる身の部分だと思うといいかもしれません。

しかし、この特性は無線機によりわずかずつ異なります
すると次の図をみてくだささい、。

図Aグラフ
図Bグラフ

送信波形は同じなのですが、図Aでは受信側のほうの特性が高域まで伸びていますし
図Bでは高域特性が低くなっているのがわかるとおもいます。
これを送信と受信の総合特性にすると、
相手で再生される音域は灰色の部分であるといえるわけけですから、
灰色の面積が少なくなっているのがわかるとおもいます。

そこで、どうやったら相手に伝わりやすくなるか? 
ということを考えれば
それは当然正しい帯域で送出、
正しい帯域で受信ということなのですが、
CB無線界では、正しい解決方法ではなく間違った解決方法により解決をしています。
それはコンプレッサーなどの外部機器を利用し
無線機に内蔵されているLPFを乗り越えるような
大きな信号を押し込んでしまうという方法です。

グラフ

無理やり押し込めば必然的に送信周波数域は広くなり、
相手の受信能力一杯まで信号を送ることができるわけです。
なんだカンタンな方法だったんですね。

ん?ちょっとまって・・・・
んじゃ変調をレベル(コンプレッサーのOUTレベル)を
上げちゃえっと思う人も多いでしょう。

変調の変化
図をみてください
どこかでみたことはないでしょうか? 
27MHZにキャリアに1khZの変調を加えた図です。
1KHzというと難しいですが、口笛を吹いた感じと思えばいいでしょう。
このときには、変調はキャリアに対し上下に加わり、
その最大点は4wの倍である8wにも達します。
つまりファイナルトランジスタには
8wを出す能力がなければ、AM信号は発射されないわけです。
本当ならば、上下に対して変調が均等に加われば
その平均値は4wになるため、変調を加えてもパワーは上下しません。
しかしながらAM変調波形は、上下対象ではないわけですし、
トランス式の変調の場合は、
変調加えるとコレクタの電圧も変化しますので、
送信電力そのものが増加します。(いわゆるプラス変調)

波形
波形
回路図
↑変調が加わる仕組み

ではここで歪というのはどういうものか?
ということを概念としてお知らせすると、
ある送信装置があって4Wの送信電力が得られているとします。
その送信機に変調(口笛でも)を吹いてみると
普通のパワーメータでは5wくらいま指示値が増えます。
これ普通のパワーメータは平均値を測定するものであり、
ピークが倍ほどあるためにそういう表示になります。
ピークパワーが測定できるメーターを利用すると、
変調を加えることによって
理論値までパワーが出ているのが確認できるとおもいます。

変調を大きく加えてしまうと、
増幅器はそれを(バカ正直に)増幅し、
なにがなんでも出力を作り出そうとするのですが、
トランジスタには送信するための能力がないために
増幅できない部分をどんどん削ってしまいます。
その結果波形は角張ってしまい、
元の波形とは似ても似つかない波形になります。
張った波形は高調波という
3倍5倍7倍という高周波成分を含むようになります。
これが歪です。
無線における歪が発生すると 
その3倍である81MHzや135MHzにに電波を出すことになります。
81MHZにはFMラジオ135MHzには航空無線があります。
注意を怠るとすぐにクレームがつきます。

   

話をややこしくする終段コレクタ変調

CB無線機を語る上で忘れてはいけないのが、この終段コレクタ変調です。
みなさんの無線機は、
無変調で5wで変調を加えると10wや20wまで
プラス変調するようなものではないでしょうか? 
先の説明かからすれば5wのキャリア(無変調)の無線機は
最大でも10wしか送信できないはずですね。
それが変調を加えれば加えるほどパワーが出るわけですから、
つい無線で怒鳴りたくなる気持ちもわかります。
実はこれは、ファイナルの変調を加える部分が関係しているのです。

ファイナルトランジスタのコレクタには変調トランスが設置されています。
ここに変調器からの信号が加わっってきます。
このトランスは0.5Ω程度のインピーダンスを
8Ω(受信時) 40Ωくらい(送信時)になるように
設計をされています。
ここに変調器から
5wではなく10wや20wなどのよう電力を加えると、
コレクタには電源電圧に変調された電圧が加わることになります。
つまり変調を加えるとコレクタ電圧が上がったように振るまうわけです。
これにより変調が加わる送信電力も増える、
つまりキャリアも大きくなるというような動きになるわけです。
この変調が加わったときに変化する電圧が
いわゆるいプラス変調ということになり、
CB無線ではパンチのある変調と勘違いされているわけです。

フローティングキャリア変調
AM変調はキャリアを中心とするパワーの上下の変化であり、
その変化はキャリアによって最大値が設定されます。
しかし世の中では、プラス変調が良いものだとされる風潮があり、
無変調で10W 変調を加えて100Wなどという変調が良いという人がいます。
これは正しいAM変調ではなく、変調に応じてキャリアの量が変化する
「フローティングキャリア」という方式を作っているに過ぎません。

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